ご家族への支援
ご家族への支援
在宅療養生活を継続するためには、ご家族様の存在は大きいものです。しかし、介護にあたるご家族様にも生活があり、その生活の多くを犠牲にして介護を続けることは現実的ではありません。私たち訪問看護師を含め、社会資源を可能な限り活用し、ご家族様の役割を破綻させずに介護を継続する方法をともに考えていく必要があります。ご利用者様だけでなく、介護を行うご家族の皆様にも寄り添うことができる訪問看護を提供していきます。
病状を改善していくうえでは、服薬面でのサポートや日常生活面でのサポートが欠かせません。ご家族が患者様のケアをされる場合には、様々なお悩みが生じますが、看護師が丁寧に説明していくことでお悩みを解消することができます。
患者様をケアする中で、ご本人様だけではなく、ご家族様も悩みをひとりで抱えてしまい、思い詰めてしまうことは決して少ないことではありません。看護師等が精神面でのサポートも行うことで、充実した自宅療養を実現することができます。
訪問看護時に患者様の病状をチェックしたり、普段の生活についてヒアリングすることはできますが、日常的な健康管理はご家族にお任せすることになります。訪問看護時に、看護師等が日常生活の中での健康管理について指導・支援します。
看護する中で介護用品等を使わなければならないこともあります。介護保険との兼ね合いもあるため、その際は、訪問看護師が相談に対応します。
病状が回復しても主治医の指示や、ご本人様、ご家族様の希望により訪問看護を継続することは可能です。病状が安定して住み慣れた家で暮らせるように訪問看護師がお手伝いすることができます。
病状が回復した後の訪問看護は、服薬の管理や病状の観察、リハビリテーションなど安心して暮らすための看護となります。介護度に合わせて、利用限度額の範囲で訪問看護の利用が可能です。また、受診の確認や検査結果を踏まえた生活の助言をしていくことも必要な訪問看護の役割です。
なお、訪問看護以外にも地域の保健所や市役所、病院の地域連携室など相談できるところはあります。身体機能が維持できるよう、外部のサービスについての情報提供や、健康づくりのための地域サービスの情報提供を行うことも訪問看護の取り組みの中で行うことができます。いつまでも社会と交わりながら生活できるようにすることが健康維持につながっていき、看護される方の健康維持がご家族の安心にもつながります。
病気の方がいるご家族様は常に、健康状態や将来に不安があると思います。一人で悩まずに訪問した看護師にどんなことでもお話しください。治療方法の決定や、治療方針の選択など看護を専門にしていなければ難しい場面も多々あります。
また、訪問看護師等にご相談いただくことも重要ですが、ご家族様が同じ気持ちで納得して答えを出せるよう、家族間のコミュニケーションを図ることも欠かせません。1人の家族に負担がかからないよう役割分担も必要です。看護師は家族間のコミュニケーションを促し、スムーズな決定ができるようにお手伝いをし、介護疲れにならないように息抜きができる方法についてもアドバイスします。ご自身の体のことや、他の家族のことでの悩み、経済的なことなどなんでもかまいません。看護される側だけでなく、ご家族様が元気でいることが、看護される方の安定した生活につながっていきます。
看護師は、患者様を抱える家族の不安を軽減し、健康を維持するためのケアを提供します。ご家族に病気の方がいると家族も様々な影響を受けます。家族関係の問題・患者への接し方・家族間の意思統一の問題などが、精神的な問題、介護のストレス、今後の生活への不安などにつながります。
そのため、訪問看護を行う際には、患者様本人だけでなく家族も看護の対象ととらえ、問題解決や負担軽減のためのケアを提供します。在宅では介護用品も家族が取り扱うことになり、食事、移動、トイレ、痰吸引、経管栄養などたくさんの覚えなければならないことが出てきます。家族が使用方法を習得できるまで必要に応じ回数を増やしたり、一緒に介護用品を操作するなど看護技術を指導することで、介護者のみならずご家族の方もより良い健康状態で生活できるように配慮します。
介護用品についても、必要に応じて情報の提供やケアマネージャーとの連携を行い、安全・安楽に療養できるよう、物品の準備や、使用方法の説明・指導を行います。介護用品には多くの種類があり、リハビリ用の靴、手すり、杖歩行器、シルバーカー、車いす、介護用食品、おむつパッド、ベッド柵、入浴用品、介護用の衣類などがあります。
介護用具を介護保険を利用して、購入したりレンタルする場合には、市区町村で介護認定を受けている必要があります。入院中の場合には、退院する前に病院の方に相談し、自宅で今から必要になる場合は、担当のケアマネージャーに相談しましょう。介護認定を受けていない場合には、居住地の地域包括支援センターに相談して手続きを進めましょう。