病状・健康状態の確認
病状・健康状態の確認
病院のように24時間、看護師や医師に対応してもらえるわけではない訪問看護においては、看護師等の訪問時にご利用者様の症状をしっかりと観察することが重要となります。限られた訪問看護の時間に、ご利用者様の病状を観察するだけではなく、日ごろ携わっておられるご家族様や、病気を患っておられるご本人様へのヒアリングを通じて、病状がどのような状況にあり、どのような対応方法が必要となるかを時には主治医も交えて検討していきます。
訪問看護の現場において、病状・健康状態を観察するうえでは、4つのバイタルサインを基礎的なポイントにして判断し、栄養状態やしぐさ、本人の様子なども細かに観察していきます。
血圧は心臓のポンプの力と血管の機能を知るために測定します。
脈拍数を測定し、心臓に不整脈(リズムが規則的でない、触れにくい、脈が多すぎる、少なすぎる)などの異常があれば、血圧や、めまい、眩み、動悸などの症状も一緒に観察する必要があります。
呼吸速度を測定するとともに、せき・たん、チアノーゼの有無、息苦しさなどについても観察します。
体温は体内の熱の産生と放散のバランスによりおよそ37,0℃に保たれていますが、細菌感染や悪性新生物、自己免疫疾患などにより体温が高くなります。
血圧は心臓のポンプの力と血管の機能を知るために測定します。心臓が収縮した時(収縮期血圧)のことを最高血圧といいます。心臓が拡張した時(拡張期血圧)のことを最低血圧といいます。最高と最低の圧の差を脈圧といいます。血圧を測定することで高血圧患者発見にも役立ちます。
脈拍は、心臓や循環器系の異常の早期発見に役立ちます。心臓に不整脈(リズムが規則的でない、触れにくい、脈が多すぎる、少なすぎる)などの異常があれば、血圧や、めまい、眩み、動悸などの症状も一緒に観察する必要があります。
体温中枢は脳の視床下部というところにあります。体温は体内の熱の産生と放散のバランスによりおよそ37,0℃に保たれています。細菌感染や悪性新生物、自己免疫疾患などにより体温が高くなります。
体の変化や異常を知るために、得られた情報を総合的に判断する必要があります。
健康状態の観察では、バイタルサイン測定を行います。
バイタルサインは、意識、血圧、脈拍、呼吸、体温などで示されます。それ以外にも栄養状態、排泄状態、睡眠、姿勢や動作、表情、しぐさ、話し方と話の内容、体形、皮膚の色、爪、毛髪、年齢に応じた性の発達、衣服や身だしなみ、心身の健康状態などすべての状態を観察します。
これらの得た情報から対象の看護上の問題点や優先度を把握し看護ケアの方向性を明確にします。
バイタル測定から「異常」と判断すれば、その場で主治医に報告して指示を受けます。指示により看護師は、点滴など医療的行為を行う場合もあります。主治医がすぐに訪問診療する場合もありますが、緊急の場合は救急車で入院することもあります。
栄養は生命を維持増進していくうえで必須のものです。人体の機能維持だけではなく、機能を高めるためにも不可欠です。
栄養・食事摂取面でのケアを行う場合、病気によりカロリー制限や塩分制限など対応方法は様々です。
摂取量を把握し、個人個人にあった食事の指導も実施することもあります。健康維持のためには栄養摂取量と代謝量のバランスを有効に保つことが重要で、肥満や痩せなど栄養士の指導が必要な場合には、ケアマネージャーや主治医に相談し専門的に栄養指導を計画します。
また、健康補助食品の情報提供も行います。食事だけでなく水分も重要になるため、水分摂取量の観察も行い、1日で飲む量や飲む方法についても指導します。水分は環境変化にも左右されるため、気温の調整や環境整備にも気配りする必要があります。生活の維持という視点を忘れず訪問する多職種間(家族、看護師、理学療法士、栄養士、ケアマネージャー、薬剤師、訪問入浴、ホームヘルパー)で情報を共有し連携した観察と確認を行います。
療養する際には、その人らしく住み慣れた我が家で暮らしてもらうことが第一です。
訪問看護が始まる前に、担当者会議というものがご自宅で開催されます。その際に家の中で安全に、移動や入浴、排泄ができているかの確認をさせていただきます。不安なところや、生活に支障を感じているところがあれば、福祉用具を選定し自宅に設置することで安全な生活ができるよう、ケアマネージャーや看護師、ご家族の皆様で検討します。福祉用具としては、手すり、ベッド、ポータブルトイレ、お風呂の椅子や立ち上がりに必要なもの、歩行器、杖などいろいろなものがあります。また、玄関のスロープ・上がり框の住宅改修などの方法もあります。これらは介護保険で借りられるものと、購入が必要なものなどがあります。
退院するときや、体の状況が変わったときは早急に体の状態にあった環境整備が必要です。看護師や、ケアマネージャー、理学療法士は対象者の気持ちに寄り添いながら、必ず必要性を説明し、納得していただいたうえでご自宅を訪問させていただき、必要な環境調整を行っていきます。